Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
「おかしいなア、この人は……」
と、上から下へ、ソーとなでてみると、へんだ! へんだ! へんな人間! 腰から下がなにもない。
「わッ、化け物ッ」
蛾次郎は芋の串をほうりだして、逃げるわ逃げるわ、むちゅうでにげた――一心不乱に、あかるいほうへかけだした。
夜になっても、今宮の境内はにぎやかであった。そこで蛾次郎は、はじめてホッと人心地にかえった。更けるにしたがって、踊りの輪もちり、参詣の人もたえ、いつか、あなたこなたの燈籠の灯さえ、一つ一つ消えかかってくる。
二
「こんやの宿屋はどこにしようか」
額堂は吹きさらしだし、拝殿の廊下へねては神主が怒るだろうし、と、しきりに寝床を物色してきた蛾次郎。
「ウム、ここがいい。神さまの足もとなら、化け物もでないだろう」
と、四つンばいになって、のこのこはいこんだのは、八神殿の床下。藁蓙を一枚かかえこんで、だんだん奥のほうへいざってきた。
むろん、縁の下はまっ暗で、鼻をつままれてもわからないくらいだが、蛾次郎がはいすすんでいったすこしさきに、なにやら、ゴソ……という音がした。
「ははあ、お仲間がいるな」
そう思って、地べたへ顎をつけながら、じッと闇をみつめていると、しだいに眸がなれてきて、おぼろげながら、人かげがみとめられた。