Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
「そうだ。クロを返すから、命だけを助けてくれ」
「きっとだな!」
「きっと!」
「よし、クロを返すというならば命だけは助けてやる。だが、それはいったいどこにあるのだ」
「す、す、……すこうし手をゆるめてくれなくちゃ、のどがくるしくって、声が……」
「さッ、はやくいえ!」
と少しからだを浮かしてやると、そのとたんに、泣き虫の蛾次郎、ドンと足をあげて竹童の頤を蹴とばした。あッ、と竹童もふいを食ったが、胸ぐらをつかんでいた手をはなさなかったので、足を踏みはずした勢いで、蛾次郎もろともに、ゴロゴロゴロと、二つのからだが、俵のように、石段の中ほどから下までころげ落ちていった。
地を裂く雷火
一
ごろんと石段の下にとどまると、蛾次郎はいきなり、竹童の唇へ、爪をひっかけた。
「なまいきなッ」
と竹童、その手をはらって、襟がみをつかみ、腰をあてて、車投げに、――ぶんと、大地へなげつける。が、蛾次郎もここ一生の命がけ、投げつけられて立つや否、バラバラッと横ッとびに逃げだした。
「待てッ――」
なんで竹童の足にかなうものか! すぐ追いつかれそうになる、これはとおどろいて、蛾次郎、高くそびえ立った一本の樫の木へ猿のようにツツッ――とよじのぼった。