Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
かれはだまって、いつまでも下をむいていた。
「いけないと見えるな……ウーム、これだけはさすがのわしも困ったな」
そこへ、巫女の少女が粥をはこんできたので、宮内はそれを竹童にあたえ、蛾次郎の分はじぶんが持って、また以前のところへもどってきた。
お粥のけむりを見ると、空腹で、喉から手がでそうなくせにして、蛾次郎はプンプンと怒った。
「けッ、またおかゆかい、おじさん」
「うごかずにいる間は、まアまアこれでがまんをしなければ」
「じょうだんじゃねえや、おれなんか、裾野にいたじぶんから、ズッと奈良や京都のほうを見物して歩いてる時なんかも、こんなまずいものを一どだって食ったことはありゃしねえ」
「ほウ、おまえはそんなぜいたくだったのか」
「そうさ、おいらはこう見えても、徳川家へゆけばはぶりがきくんだからな。浜松にいる菊池半助という人を知っているかい。おじさんなんか知るめえ。隠密組で第一ッていう人よ。おれはその人にずいぶん小判をもらったぜ、つかいきれないほどあった――アアつまらねえつまらねえ、また浜松へいって、少しお金をせびッてこよう」
ひとりでペラペラしゃべりながら、まずいといった粥を一つぶのこらずなめてしまった。