Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
ひとり問い、ひとり答えて、はては当面の大難にあたまも惑乱して、ぼうぜんと、そこに、腕ぐみのまま立ちすくんでしまったのである。
すると、野原のどこからか、ワ――ッと、元気のいい声が、潮のように近づいてきたかと思うと、やがて青々とした草の波から、おなじ年頃の少年ばかりが二十人ほど、まっ黒になって、竹童のほうへなだれてくる。
「や、なんだろう?」
ぼうぜんとしていた竹童は、その気配に顔をあげたが、ようすがわからないので、いち早く、草のなかに身をふせてしまった。
姿をかくして、眸だけをジッとそれへ向けていると、あまたの少年たちは、いずれも、前髪だちで、とんぼ模様のついたそろいの小袖、おなじ色の袴をうがち、なにか、大きな動物に綱をつけて、その動物の力にワイワイと引きずられてくる。
見ると、それはクロだ。
竹童の愛鷲――あの大きな鷲だ。
とんぼのついたそろいの小袖を着ているところでは、これこそ、浜松城で有名な、お小姓とんぼの少年たちにちがいはない。そして、このとんぼ組の餓鬼大将とかげ口をいわれているものは、結城秀康の子で家康には孫にあたる、徳川万千代である。