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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme

Aozora Bunko

そういって、評定場の床を上げた。

まっくらな空洞が口をあけた。

峡谷の一方へひくくくだっていく間道である。

「では」と、そこへ足を入れながら、民部はもういちど咲耶子と竹童をふりかえった。

「いまのたのみ、くれぐれも心得てくれよ、なにごとも若君のおためじゃ」

いなむこともならず、ふたりはさびしい目で見おくった。小文治と蔦之助は、目と目で別れをつげながら、民部につづいて、もくもくと間道の下へすがたを入れる。

ドーンと、下から入口をふさいでしまわれると、山曲輪の一室にはもう、竹童と咲耶子、たッたふたりきりになってしまった。

それから二刻か、一刻ばかりの後――。

味方の目をしのんで、一散に、ふもとへ走っていった小幡民部とほかふたりは、やがて、夜のしらしら明けに、麓の馬舎から三頭の駿馬をよりだして、ヒラリと、それへまたがった。

あいたいと、たなびく雲の高御座に、富士のすがたがゆうぜんとあおがれる。民部は、鞭をさして、

「ご両所!」と呼んだ。

「竹童のしらせによると、若君が刑場へひかれるのは、明日の夕方ということじゃ。きょう一日で、裾野から東海道のなかばまではかどれば、その時刻にようよう間に合おうかと思う。