Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme

Aozora Bunko

「外城のものまでも、毒にまわされてしまったと見える、ああッ! ……」

絶望的な声と一しょに、思わず陣貝をとり落とすと、井楼やぐらの下の岩へ、貝はみじんとなってくだけた。

「咲耶さまッ」やぐらの下へだれかかけてきた。

「お、竹童! ――竹童さん?」

「貝合図は吹いてもムダです――扇縄の水の手へ、毒を流したものがあって、砦の者はみなごろしになってしまった。アア、ここはもう死の城だ!」

かれの声は悲壮だった。

「そして、陣馬ヶ原にいたまわし者は?」

「斬りちらして馳けだしてきたんです――こっちのほうが心配になるので」

「といっても……味方はおまえとわたしふたりきりだ」

「たとえふたりきりになっても、この砦を敵の手には渡されない」

「よくいった! 死んでも敵へは渡せない! ……おやッ?」

「な、なんです」

と竹童は、やぐら柱にすがって伸びあがっている咲耶子のかげを下からあおいでいった。

「――外城の方には、まだ無事な味方がいるらしい」

「えッ、なにか合図がありますか」

「みだれた火の影がチラチラとうごきだして、上へ上へと押してくる」

「おお、しめた! じゃ、咲耶さま、早く!」

と手招きした。