Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme

Aozora Bunko

「オオ?」

と、思わず、だれの目もそれに気をとられて、宙に眼をつりあげて見ると、夕陽にきらきらして星がまわってくるかと思うばかりな一箇体の金輪の縁から、雨か霧か、独楽の旋舞とともにシューッと時ならぬ村雨のような水ばしりがして、そのこまかい水粒と夕陽の錯交は、口上どおり七、八尺のみじかい虹をいくつも空へのこして、独楽はトーンと蛾次郎の足もとへ落ちてすんでいる。

群集は正直にドッと賞讃の手をはやした。そしてまわっているかいないかわからないほど澄んでいる地上の魔独楽に目をすえて押し合ったが、蛾次郎は得意になって独楽の心棒を人差指の頭にすくいとり、ピョンと肩へ乗せたかと思うと、左の手から右の手へ衣紋ながしの軽いところをやって見せる。

見物はもう手をたたくのも忘れて、ふしぎな独楽の魅力にすいこまれていた。独楽は生きもののように蛾次郎の自由になって、指頭あるき、剣の刃ばしり、胸坂鼻越え背すじすべり、手玉にあつかわれてまわっていたが、ふたたび、蛾次郎がヤッと空へ飛ばしたとき、――オオ、どうしたのかとちゅうまで霧を散らしてきたその水独楽、かれの手へは帰らずに、忽然と、どこかへ見えなくなってしまった。