Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
度胸よりは舌である。三尺の剣よりは三寸の毒舌、よく身をふせぎ敵を翻弄し、ときには戦わずして勝つことがある。
「さあ、おりてこい、野ねずみめ!」
そろそろその舌の鞘をはらって、蛾次郎、口ぎたなくののしった。
「うまく罠にかかりやがッたな。どう血まよったのかしらないが、自分から罠の袋へはいりこんでくるうすノロがあるか。かわいそうに、はいったはいいが、躑躅ヶ崎のご門内、西へも東へもぬけだす工夫がつかないで、メソメソべそをかいていやがったんだろう、ざまを見やがれ! いまにおれの親方や大久保さまの侍たちを呼んできてやるから、しばらくそこで宙乗りをして待っていろ」
「待てッ、蛾次公!」
「大きなことをいうない」
「うごくとゆるさぬぞ」
「なにを」
「この小屋をでてはいけない」
「伊那丸の間者がまよいこみましたと、おくのご殿にどなってやるのだ。待っていろ、そこで!」
「おお、知らせるものなら知らせてみろ、この火独楽がスッ飛んで、その頭の鉢を木ッ葉みじんにくだいてやるから」
「けッ……な、生意気な……」
とはいったが蛾次郎、上を見るとこわかった。思わずブルブルッと足がすくんだ。
まだ竹童のこんな必死な顔をかれは見たことがない。