Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
余一はそれで泣くのだった。
逃げた! と聞いておどろいた熊蔵や、張合いぬけのした若侍たちが、半信半疑の目をさまよわせて、どこへ逃げたのかと明け方にちかい八方の天地をながめまわすと――。
水色にすみわたった五更の空――そこに黒くまう一葉のかげもなく、ただ一閃、ピカッと惑星のそばの星が、あおい弧線をえがいて巽から源次郎岳の肩へながれた。
また、足もとを俯瞰すと。
竹童と蛾次郎の争闘から端をはっした馬糧小屋の出火は、その小屋だけを焼きつくして焔を沈め、うすい白煙とまッ赤な余燼を、あなたの闇のそこに、まだチラチラと見せている。
「ウーム、おそかったか!」
と、熊蔵は、余一の泣くのがおかしくなった。
「ぜひがない。このうえは殿にありのままをおつげして、少しも早く、ほかへ手配をつけるのがかんじんだ」
一同、手をむなしくして、屋根から降りかけた時だった。下に待っていた老臣伊東十兵衛が、なにか意味の聞きとれない絶叫をあげたかと思うと、二層目の欄間から、手槍をつかんだまま仰向けに、
「伊部ッ」
と救いを呼びながら、二層目の屋根へ、袈裟がけになって斬りおとされていった。