Japanische Klassiker mit Furigana
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とらのきば
虎の牙/透明怪人
江戸川 乱歩
Lesen Sie 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 193.761 Zeichen · 388 Bildschirme
にせものが、おどろいて、ふりむくと、そこには、麻酔薬で気をうしなったはずの文代さんが、イスにかけて、ニコニコ笑っていました。
「文代は婦人探偵なんだ。麻酔薬をのまされるようなボンクラじゃないよ。あの紅茶は、のむように見せて、すっかりハンカチにすわせてしまったんだ。文代のスカートのポケットには、グチャグチャになったハンカチが、はいっているはずだよ。」
「それじゃあ、この女は、おれが明智でないことを、はじめから、知っていたのか。」
「そうさ。ぼくの自動車は、京浜国道で、きみの自動車をぬいて、一足お先に、ここへついたのだからね。いまにきみがやって来るだろうと、うちじゅうで待ちかまえていたのさ。きみがここへ来ることは、ぼくにはちゃんとわかっていたのだよ。」
「ちくしょう。」
二十面相はまっさおになって、唇をかみました。完全な敗北です。こんなひどい負け方は、はじめてです。かれは、血ばしった目で、キョロキョロとあたりを、見まわしました。
「かぶとをぬいだかね。」
明智がニコニコして言いました。
「ぬぐもんかッ。」
二十面相はまだやせがまんを、言っています。かみしめた下唇から、血がにじみだして、むねんの形相は、おそろしいほどです。