Japanische Klassiker mit Furigana
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とらのきば
虎の牙/透明怪人
江戸川 乱歩
Lesen Sie 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 193.761 Zeichen · 388 Bildschirme
小林君はその一つを、となりの運転手にわたし、一つは自分のポケットに入れました。
それから三十分あまり、待ちかねているところへ、また明智探偵がやってきました。
こんどはにせものです。コツコツのあいずをしないからです。
にせものは、あわただしく自動車に乗りこむと、
「全速力だッ。渋谷駅へ飛ばせろ。それからさきはおれがさしずする。」
とどなりました。
運転手は言われるままに、車をすすめます。命令どおりの大速力です。
しばらくすると、にせ明智が、へんな顔をして、窓の外を見ました。
「オイ、運転手、方角がちがうじゃないか。渋谷だ。渋谷駅へ行くんだ。」
しかし、運転手は返事もしないで、だまりこくって、運転しています。方向をかえるようすはすこしもありません。
「コラ、聞こえないのか。きさま、どこへ行くつもりだッ。渋谷と言うのがわからないのかッ。」
にせ明智は、ふたたび、おそろしい声でどなりました。
すると、そのとき、へんなことがおこったのです。運転手はとつぜん、車をとめて、客席のほうへ、からだをねじ向けました。小林君もおなじように、うしろ向きになりました。四つの目がじっと、にせ明智をにらみつけ、ふたりとも小がたのピストルを持って、その筒口を、にせ明智の胸に向けていたのです。