Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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とらのきば

虎の牙/透明怪人

江戸川 乱歩

Lesen Sie 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 193.761 Zeichen · 388 Bildschirme

Aozora Bunko

三人は電灯をつけることさえわすれていたのです。

「アッ。」

とつぜん、島田少年がおとうさんのうでに、すがりつきました。目の玉が、まぶたから飛びださんばかりに、まんまるにひらいて、部屋の一方をみつめています。おとうさんと黒川記者は、おどろいて、そのほうをながめました。

島田君がみつめていたのは、しめきったガラス窓でした。それは西洋ふうのおしあげ窓で、スリガラスがはめてあるのですが、そのスリガラスに、ボンヤリと人の影がうつっていました。実物の二倍ほどもある大きな横顔が、口を三日月がたにひらいています。

「エヘヘヘヘ……。」

あの、しわがれた、身の毛もよだつ笑い声が、かすかにきこえてきました。笑うたびに、影のくちびるが、ヘラヘラと動くのです。ふつうの人間の影ではありません。透明怪人特有の、うすぼんやりした、幽霊のような影です。

黒川記者は、さすがに勇敢でした。それを見ると、「うぬ。」とさけびざま、飛鳥のような早さで、窓に飛びついていきました。そして、おしあげ戸に手をかけると、いきなり、ガラッとひらきました。しかし、窓のそとには何者のすがたも見えません。見えるわけがないのです。