Japanische Klassiker mit Furigana
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とらのきば
虎の牙/透明怪人
江戸川 乱歩
Lesen Sie 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 193.761 Zeichen · 388 Bildschirme
それとも……。
そのとき、またしても、どこかで、コトッと、かすかな音がしました。金庫をみつめている四人の顔が青ざめてきました。島田君は、「ワッ。」とさけんで、いきなり、逃げだしたいのを、やっとのことで、ふみこたえているのです。いまにも、心臓が、のどのところへ、飛びあがってくるのではないかと思うような、なんとも言えない、へんな気持ちでした。
「ワハハハ……。」
とつぜん、とほうもない笑い声が、部屋じゅうに、ひびきわたりました。中村係長がイスから立ちあがって、笑っているのです。
「諸君、九時はすぎた。もう二十秒で、一分すぎになる。そう言ってるまに、ホラ、九時一分になった。黒川君どうです。あいつはやくそくをまもらなかった。金庫には別状ない。あの紙きれは、こけおどしにすぎなかったのです。」
係長は、さもゆかいそうに、言いはなちました。
「まってください。それでは、二度もきこえた、あのへんな音は、なんだったのでしょう。島田さん、ねんのために、金庫の中をしらべてごらんなさい。」
黒川記者に言われるまでもなく、島田君のおとうさんは、立ちあがって、金庫に近づきました。