Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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とらのきば

虎の牙/透明怪人

江戸川 乱歩

Lesen Sie 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 193.761 Zeichen · 388 Bildschirme

Aozora Bunko

ところが、ますますふしぎなことには、その横町には、自転車のぬしらしい人は、だれもおりません。ただ、ずっとむこうのほうから、ボロボロにやぶれた服を着た、こじきのような、三十歳ぐらいの男がフラフラとあるいてくるのが、見えるばかりです。

「オイ、この自転車、きみが乗っていたのか。」

運転手は、そのこじきが、近づくのをまって、どなりつけました。

「おれじゃねえよ。」

こじきは、けげんな顔をしてこたえました。

「へんだな。きみのほかに、だれもいないじゃないか。きみは、この自転車が、走っているのを見なかったか。」

「見たよ。あっちから、見ていた。」

「じゃあ、自転車に乗っていたやつは、どこへ行ったんだ。むこうへ逃げたのか。」

「いんや。逃げないよ。はじめから、いなかったんだ。」

こじきは、みょうなことを言いました。

「いなかったって? それじゃどうして自転車が走れるんだ。」

「だれも人はのっていないけれど、自転車は、ひとりで、走っていた。へんなこともあるもんだと、おれもふしぎに思って見ていたんだ。」

それをきくと、運転手はゾーッとしました。そして、思わず、うしろをふりむくと、そこに自動車から出てきた明智探偵が立っていました。