Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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とらのきば

虎の牙/透明怪人

江戸川 乱歩

Lesen Sie 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 193.761 Zeichen · 388 Bildschirme

Aozora Bunko

「このへんは、ちっとも家がたたないね。」

「ウン、管内でも、いちばんいやな場所だな。ことに、あすこに見える焼けビルは、なんだか、えたいのしれない建物だ。たえず住みてがかわっている。このへんでは、化けもの屋敷という、うわさがたっているほどだよ。」

「フーン、化けもの屋敷か。そういう家にかぎって、悪人に利用されるもんだ。」

「そうだよ。だからぼくは、あの建物には、いつもとくべつに注意しているんだ……。オヤッ、なんだか動いているぜ。ごらん、あの焼けビルのかどを、黒いものが、だんだん下へ、おりてくるだろう。」

ふたりはハッとして、そこに立ちどまってしまいました。

それは、焼けあとの原っぱに、黒い大入道のように、つったっている、三階建ての焼けビルでした。そとがわは、けしょうれんががはげおちたままの、きたない建物ですが、内部には手いれがしてあるらしく、なにかの会社の事務所になっていて、夜も小使いの一家が、そこにとまっているようすでした。

見ると、その建物の三階の窓がひらいて、そこから、はいだしたのでしょう。ひとりの男が、長い樋をつたって、だんだん下へおりてくるのです。