Japanische Klassiker mit Furigana
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とらのきば
虎の牙/透明怪人
江戸川 乱歩
Lesen Sie 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 193.761 Zeichen · 388 Bildschirme
そして、少年を乗せた虎の姿を見ると、いきなり悲鳴をあげて、かけだしたのです。
すぐ向こうに交番があります。女の人はそのほうへ走っています。いまにも、おまわりさんが、ピストルを持って、かけつけるかもしれません。また、悲鳴を聞いた商家などでは、表戸をゴトゴトさせています。いまにも、町の家々から、大ぜいの人が飛びだしてくるかもしれません。
しかし、虎は、そんなことを、どこふく風と、おちつきはらって、自動車に近づき、前足で、その車体をコツコツとたたきました。
すると、自動車の戸がひらいて、運転手が出てきましたが、猛虎の姿を見て、アッと腰をぬかすかと思いのほか、すこしもおどろくようすはなく、しずかに座席の戸をひらいて、さあ、どうぞ、お乗りくださいという、かっこうをして見せました。
夢遊病者のようになった、花田君は、運転手におされて、車の中へはいりました。ところが、おどろいたことに、花田君のあとから大きなずうたいの虎が、ノコノコはいって来て、花田君とならんで、まるで人間のように、クッションに腰をおろしたではありませんか。
猛獣が自動車に乗るなんて、話に聞いたこともありません。