Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.671 Zeichen · 252 Bildschirme
チョロチョロと通りかかった小娘のお春は富山七之助に呼留められて、うっかり立ち止りました。其処を通って、縁側伝いに奥の部屋――同じ浪人の用心棒、秋山彌十のところへ行く積りだったのでしょう。
「ハ、ハイ」
お春は縁側に立ち縮みました。富山七之助の顔色や態度から、容易ならぬものを見て取ったのでしょう。
まだ数え年の十四になったばかり、娘らしい可愛らしさが、ようやく芽生えたばかり、丸顔で小作りなお春は、まだほんの赤ん坊でした。
「お前は何処へ行くのだ」
「お隣の秋山様のお部屋へ、お煙草入を取りに参ります」
「秋山氏は何処に居るのだ」
「裏庭で、花を見ていらっしゃいます」
「それはいつからのことだ」
「ツイ先程から――」
「それまでは?」
「お隣のお部屋にいらっしゃいましたようで――」
「此四半刻の間に、此処へ来たものは無かったのか」
「一向気がつきません」
「――」
富山七之助は唸りました。日頃仲のよく無い秋山彌十、自分の腕の鈍さを胡魔化すために、何彼と余計な策動をする秋山彌十が、富山七之助に対する反感が募って、見切札の悪戯をしないとは言い切れません。
「あの、外に御用は?」
お春はまだ其処で待っていたのです。