Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.671 Zeichen · 252 Bildschirme
「喜八郎は?」
「飛んだ道楽者で、父親に勘当されて、一時植木屋の職人などをして居りましたが、皮肉で生意気なことを言う癖に、自分の名前も書けないような、一文不通の男で、こんな手紙を書ける道理はございません」
「ところで、此間二階の戸袋に射込まれたという、白羽の箭を見せて下さい、出来ることなら、呪の藁人形も」
「無気味なものですから、取り捨てようと思いましたが、こんな事もあろうかと、念の為に隠して置きました」
主人は下男部屋の隣の物置へ行って、取出して来たのは、白羽の箭一筋と、藁人形の一つでした。白羽の箭は、篠竹を切って美濃紙の羽をつけたもの、至って細工が粗末で、これは人を傷つけたり脅かしたりする道具では無く、恐らく二階の戸袋に矢文を射込むために、わざわざ作られたものとしか思えません。
藁人形も、念入に粗末なもので、手際の悪さは、まさに滑稽に近いものですが、その中から平次は、フト、妙なものを発見したのです。
「この藁人形を拵えた縄は、皆んな女結びになって居るのは何うしたことでしょう」
「さァ、私には少しもわけがわかりませんが」
峰右衛門にはわからなくとも、平次にはわかり過ぎるほど、その恐ろしい意味がわかります。