Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 鬼の面

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.082 Zeichen · 257 Bildschirme

Aozora Bunko

「そいつは大笑えだ」

「笑い事じゃありませんよ、頭から水をブッ掛けられて御覧なさい」

「怒るな、八――それからどうした」

「あっしと気がつくと――あら八五郎親分、済まなかったわねえ――と来やがる、その後がなおいけねえ――私にそっと逢い度いなら逢い度いと、そう言って下さればいいのに、まさか八五郎親分が風呂場に隠れて居ると気が付かないから水なんかブッ掛けたじゃありませんか――なんて人を喰った女じゃありませんか」

「でも、お組の家に、濡れた着物が一枚も無いとわかれば、それでいいのだよ。あの大夕立の中で、お園を殺して逃げた者は、間違いもなくズブ濡れになって居る筈だ」

「もっとも、白縮緬の湯もじが一枚、風呂場の盥に漬けてありましたよ」

「それ位のことはあるだろう」

「あの歳で、緋縮緬で無いのが気障ですね」

などと、又他愛も無い掛け合いになりそうです。

「ところで、喧嘩の後でお組は、何処を通って自分の家へ帰ったんだ」

「あの女が言ってる通り、路地の突当りの木戸を開けて、大家の庇の下を通して貰い、自分の家へ駆け込んで蚊帳を吊って線香を焚いて居たことには間違いありません。近所の衆は、お組が大騒ぎをしながら雨戸を締める音も聞いたし、線香を一と束ほど燻して、長屋中を匂わせたことも、皆んなよく知って居ましたよ」