Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 鬼の面
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.082 Zeichen · 257 Bildschirme
遊び嫌いの銭形平次、遊里へ足を踏み入れるのを、――当時の道徳とは逆に、男の恥のように思って居た平次も、眼の前に近々と見た、歎きの大夫、薄墨のお染の、悲しんで傷らざる、上品で痛々しい姿に、思いも寄らぬ驚きを味わいました。
洗練に洗練を重ね、一点のしみも留めない女の清々しさ、恐らく、そのあらゆる分泌物が馥郁として匂い、踏む足の下から、百花妍を競って咲き乱れることでしょう。これでこそ、十六人の男に身代限りをさせ、三人の男の命を奪りもしたのです。さしも堅固の銭形平次でさえ、こう相対していると、息詰まるような――それは不思議な女の魅力でした。
「どうしましょう、銭形の親分さん、私はもう」
頼る主人に死なれては、元の浮き川竹――の遊女生活に還るか、でなければ、生活の道を一つも知らない、虫のようにか弱い女として、往来に投り出される外は無かったのです。
「お気の毒なことで――毒酒の果し合いなどは、いかにも魔の差しそうな事だが、間違いが何処にあったか、それは調べ抜かなきゃなりませんよ、御新造」
平次は職業意識を取戻すと、昨夜事件の起った部屋に案内して貰いました。
月見のために用意された、東向二階の八畳で、六畳の次の間があり、さすがにあわてたものか、月見の用意なども昨夜のまま、薄や萩が、真昼の陽の中に、ユラ/\と影を落して居る