Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 鬼の面
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.082 Zeichen · 257 Bildschirme
「いや、飛んだ功徳ですよ、伊豆屋の虎松とも言われた人が、犬猫のように死骸を扱われちゃ可哀想だ」
平次は心からそう言った調子です。死んだ者には、何んのとがめもある可き筈は無いのです。
「そう聞いて安心いたしました。昔の恥になりますけれど、私のためには随分苦労をなすった虎さんですもの、死んでしまえば、憎かろう筈はありません」
静かに部屋の中に入って来たお染は、黒っぽい袷、切髪が首筋に淀んで、素顔にほのかな紅を含んだのさえ、驚くべき効果的な魅力ですが、虎松の死骸の側に寄って、たしなみよく香を捻る姿は、あわれ深くも美しいものでした。
「ところで御新造――いや今では内儀さんと言った方がよいでしょう、――昨夜この家から、外へ出た者は無かったでしょうか」
平次は場所柄を無視して、こう訊ねました。
「一人も無かった筈でございます。喜七どんと、お友に訊いて下さい」
「――」
「私は奥の部屋へ一人で休んで居りますし、弟の米吉はたった一人で二階へ、その階子段の下には、番頭の嘉七どんと、小僧の春松が休んで居ります。一人で外へ出て誰にも気取られないのは、下女のお友位のものでございましょう」