Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 鬼の面
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.082 Zeichen · 257 Bildschirme
「親分、大変なものを見付けましたよ」
お勝手口の方から八五郎が、何やら赤い着物を持って飛んで来るのです。
「何んだえ、それは?」
「女の寝巻ですよ、――裏の縁側の手摺に掛けてありましたが、下女のお六に訊くと、あのお夏という娘の物なんだそうで」
「フーム」
「この寝巻の背中から後ろ襟へかけて、血飛沫を浴びて居るんです、――矢張りあのお夏という娘が怪しいんじゃありませんか。あんな可愛らしい娘の癖に、証拠が揃い過ぎますよ」
八五郎は少しばかり忌々しそうでした。
「どれ/\」
平次はその寝巻を受取って、一応調べました。長襦袢を寝巻にしたもので、少し色褪せた鹿の子絞りも哀れですが、昼近い陽の中に処女の移り香がほんのり漂って、血飛沫のあとを超えて艶めきます。
「ね、親分、その通り」
「すると、お夏は、俺達と一緒に此処へ帰って来てから、あわてて寝巻と着換えて、お絹の部屋に忍び込み、後ろ向になってお絹を刺したというのか」
「何です? 親分」
「あわてるなよ、八、又一つ曲者は証拠を残して行ってくれたよ、――それは、此下手人は、お夏ではないということだ」
「ヘェ、それであっしも安心しましたよ、あの娘をお所刑台に上げる位なら、あっしは此寝巻を持ち逃げして、還俗しようかと思った程で――」