Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.562 Zeichen · 291 Bildschirme
忽ち変る人相――。
「この男が、店の外で、毒薬の効くのを待っていたんです。家の中であの騒ぎが始まると、引返して下手人に知らせ――」
平次はここで言葉を切って、一座を見渡しました。
「…………」
恐ろしい沈黙が、鉛のようにのしかかります。
「下手人は、毒の効いたところを見届けて、二度目の薬を届けた。同じ人間が、毒と薬と二服届けようとは、誰も考えない」
平次はこれだけの事を、何の巧みもなくスラスラと言ってのけたのです。
「ば、馬、馬鹿なッ、私が下手人だというのかッ」
田原屋仁三郎は猛然と立上がりました。が、一座の顔に、何の同情も動かないところを見届けると、フラフラとよろけるように、壁際に崩折れて、五十男らしくもなく、シクシクと泣き出しました。不断の落着き払った様子などは微塵もありません。
「気の毒だが――下手人は田原屋仁三郎だ。――あっしは二度目の薬に添えた手紙を見た時から気がついていたよ。小間物や薬まで売る田原屋がどんなに取急いだにしても、薬という字の艸冠を落して、楽という字を書くはずはない――人でも殺して顛倒した時でなきゃ――」
「出来心だ、親分」
仁三郎はうめきます。