Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(二)八人芸の女

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.562 Zeichen · 291 Bildschirme

Aozora Bunko

針が落ちたほどの足音を聞き付けて、お前を犬っころ投げにして逃げた曲者じゃないか。その上祥雲寺門前からここまで、蜘蛛手の細い路地を拾ってあんな具合に飛んで来るのは、『千里の虎』でなきゃア梟だ」

二人はそんな事を言いながら、薄明りの中に奥まで見通しのきく、袋路地に入って行きました。

袋路地といったところで、一方は寺の高い塀、一方は押し潰したような三軒長屋が一と棟、幅一間ばかりの路地の行止りには隣町の大きい家の裏木戸が一つ、こいつは雇人の夜遊びを嫌ってか、内からも出られないように、形ばかりですが錆び付いた中形の海老錠がおりております。

「八、変な路地だねえ、お前ここは始めてかい」

「知ってますよ親分、これは名題の庚申横町じゃありませんか」

「はてね」

「小石川の庚申横町て言や知らない者はありゃしません」

「俺は知らないよ。お猿の石碑でもあるのかい」

「三軒長屋の取っ付きが按摩の竹の市で、その隣は女が美い癖に、無口で無愛嬌で、町内の嫌われ者になっているお妾のお糸、一番奥が空家で――」

「それじゃ、見ざる、言わざるだけじゃないか」

「突き当りが、俳諧の宗匠で其月堂鶯谷の裏口、俳諧はからっ下手だそうですが、金があるのと、聾なのでその仲間では有名ですよ」