Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(二)八人芸の女

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.562 Zeichen · 291 Bildschirme

Aozora Bunko

「逃げて下さい、早く」

お糸は気違いじみた声を振り絞りながら、皿、小鉢、鉄瓶、火箸、見境もなく投げ出しました。

「八、その女を押えろ」

「親分」

ガラッ八がお喜代一人と揉み合う間に、平次は飛込んでお糸を押え、猛然として切りかかる鶯谷の匕首を除け除け、右手を懐に入れて、取り出したのは得意の投げ銭です。

「えーい」

一つは額へ。一つは匕首を持つ手へ、一つは鼻柱へ――

思わぬ武器にひるむ鶯谷、裏口へ逃げ路を捜すところを、手練の十手が、ピシリとその肩を叩きます。

「神妙にせい」

*

兇賊「千里の虎」は、聾の俳諧師其月堂鶯谷だったのです。年はせいぜい四十七八、あんな老人になりすました非凡の変装に、新三郎も平次も舌を捲くばかりでした。

「親分、あっしには解らない事ばかりだ。例の通り、絵解きをしておくんなさい」

翌る日、ガラッ八の望みで、平次はこう話して聴かせました。

「最初から俺は宗匠を疑ったが、梅木先生から、聾の真似は容易に出来るものでないと聞いて迷ったのさ。鶯谷は背後で俺が転んでも、障子が倒れても身動ぎもしなかったろう。偽聾にはあれは出来ないことだ」

「すると――」