Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.562 Zeichen · 291 Bildschirme
平次の言葉の終らぬうちに、お静は一人の男を案内して来ました。
「親分さん――始めてお目にかかります、私は――」
お店者風の四十男、渋い好みですが、手堅いうちにも贅があって、後金の緩んだ雪駄を履く人柄とは見えません。
「まア、いい、番頭さん、お急ぎの用事でなきゃア、一服やってからお話を伺いましょう、ここは陽が入ってとんだ暖かだから」
「ヘエ、――有難うございます、そう呑気にしてもいられません」
「まアいいだろう、あっしは岡っ引には相違ないが、こんな好い心持の日は、仕事の話を聞くのは大嫌いさ。ウツラウツラしながら、三度の飯を待つなんざ、洒落たものさね。この男は八五郎といって、家に居る下っ引だ、遠慮なんか要るものか、朝から鼻ばかり掘っているんで、遠慮の方で驚いて逃出したってね」
「有難うございます、親分さん、何を隠しましょう、私は日本橋通三丁目越前屋総七の番頭徳三郎と申すもので――」
「…………」
平次とガラッ八は、それとなく顔を見合せました。越前屋というのは日本橋きっての大きな金物問屋で、江戸分限番付の前頭筆頭に上がる家柄、先代の総七は三年前に死んで、今は手代上がりの養子総七の代になっていることは、岡っ引ならずともよく知っていることです。