Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.562 Zeichen · 291 Bildschirme
「まアいい。店先へ御用聞が立ちはだかっちゃ悪かろうから小火の話さえ聴けばすぐ帰るとしよう」
小火の話を聴かなければ、店先から立ち退かないとも取れます。平次でも、相手が容易でないとみると、時々はこんな術を用いるのでした。
「町内では何と言ってるか知りませんが、つまらないことですよ。宵の口の小雨を避けて逃げ込んだ乞食か何かが、煙草でも吸って、火の不始末をしたまま、どこかへ行ってしまったんでしょう。あの通り、羽目板を一と坪ばかり焼きましたが、なアに、親分方のお耳に入れるような事じゃありゃしません」
久兵衛は一向事もなげです。
「裏も表も、外から心張がしてあったとかいうが――」
「どこでそんな事を聞きましたえ。とんでもない、そうでなくてせえ、あっしにケチをつけたがる奴が多いんで、本当に困ってしまいますよ」
久兵衛は頸筋を掻いております。奥の方からはチラリと人影、たぶん女房のお夏が、二人の話に気をもんで立聴きしているのでしょう。
「二十日ばかり前に、斬られたとか、突かれたとかいう噂もあるが」
「御冗談で――、そんな怨みを買うあっしじゃありません。酔っ払って、下水へ転がり落ちるはずみに、雨樋の先の尖がったところで、ほんの少し引っ掻いただけなんで――」