Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme

Aozora Bunko

「宇佐川鉄馬、御用だぞ。お篠を殺し、午吉を殺したのはお前だ」

「何を馬鹿なッ」

宇佐川鉄馬は小さい身体を跳らせると、苦もなく生垣を越えて、四角な顔を醜く歪めたまま、逃げ腰ながら一刀の鯉口を切ります。

「殿、御用人、――悪者はこの野郎ですよ。縄付を出して構いませんか。それとも追い込んで、槍玉にでも上げますか」

縁側へ出て来た、大坪石見と、小峰右内の方を見ながら、平次は用心深くこう言いました。

人の好い大坪石見はハタと当惑した様子です。縄付を出す不面目を考えないわけではありませんが、手一杯に暴れられると、大坪石見の手でこの男を成敗などは思いも寄りません。

「それじゃ縛ってしまいましょう。人別を抜いて、午吉殺しで処刑すれば」

平次は先の先まで考えながら、ジリジリと生垣に迫ります。いつの間に廻ったか、ガラッ八の八五郎は、鉄馬の退路を断って、後ろから十手を光らせて、機会を待っているのです。

「畜生ッ、どうするか見やがれ」

宇佐川鉄馬は一刀をギラリと抜くと、一気に縁側へ襲う様子を見せましたが、平次の構えの並々ならぬを見ると、諦めたものか、いきなり肌をくつろげて、ガバリとその切っ尖を自分の腹へ――。