Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme

Aozora Bunko

「で――」

「お小夜の殺された話は、鉄心道人の事から話さなくちゃ筋が通りませんよ。何しろ、明日という日は鉄心道人の庵室へ乗り込んで、朝夕の世話をすることになっていた女ですからねエ」

「梵妻になるつもりだったのかい」

「とんでもない。鉄心道人の教えでは、女犯は何よりの禁物で、雌猫も側へは寄せない」

「お小夜は雄猫と間違えられた」

「冗談じゃない、――多勢の弟子の中から選ばれて、道人の側近く仕えながら、朝夕教えを聴くことになったんだから大したものでしょう」

「それから」

「明日はいよいよ音羽から雑司ヶ谷中の信者総出で、お小夜を庵室に送り込もうという矢先、肝腎のお小夜が脇差でなぶり殺しにされたんだから騒ぎでしょう」

「なぶり殺し?」

「十二三ヶ所も傷があったそうだから、なぶり殺しに違いないじゃありませんか。よほど深い怨みがあったんでしょう」

「急所を知らないんで、無闇矢鱈にきったかも知れないな」

「でも、下手人は武家らしいという話ですぜ」

「武家?」

「お小夜が勤めをしている頃の深間で、浅川団七郎という弱い敵役みたいな名前の浪人者があったんですって」

「フム」

「その浪人者が、チョイチョイお小夜のところへ来たんだそうで、――米屋の越後屋兼松が、お小夜の家で三度も逢っていますよ」