Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme
「可哀想なことをしました。――でも私は何にも知りません」
美しくはありませんが、色白のキリリとした顔を振り上げて、正面から冷たい瞳を向けられると、ガラッ八はただもうたじたじとなるばかりです。
夕方の忙しさで、内儀が店から動かなかったのは、多勢が見て知っている上、万吉が見えなくなったのも気が付かず、夕飯の席に来ないので、始めて騒ぎ出した――と静かに語る調子にも何の誇張もありません。
番頭の喜八は、万兵衛の亡くなった女房の甥で三十五六、本当はこの家の養子にもなるべきでしたが、子飼いで知られすぎているので、かえって問題にならず、それに番頭に生れ付いたような男で、風采も、調子も、大店の主人向きでないのと、亡くなった内儀――万吉の実母で、喜八の叔母に当るのが、遠慮をして夫万兵衛の血縁から金次郎を選び出させ、喜八はとうとう万両分限の相続者としては噂にも上らずにしまったのです。
「番頭さん、藤屋の跡は、坊っちゃんが生きていても、金次郎さんが取るはずだったそうだね」
ガラッ八はこんな事から始めました。
「ヘエ――、そんなお話でしたよ」
「お前さんは、坊っちゃんに嫌われていたそうだね」