Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme

Aozora Bunko

だからあっしがそう言ってやったんで、――憚りながら、銭形の親分は智恵の時貸しはしねえとね」

「智恵の時貸しって奴があるかい」

「山の宿の丸屋の主人が行方知れずになって、もう三十日にもなるが、まるっきり見当がつかないそうですよ。お役人方からお小言が出たんで、三輪の親分仮病を使っているんじゃありませんか」

「そいつは放ってもおけまい。すぐ行ってみようか、八」

こんな調子に運んで来ると、平次も案外気軽に御輿を挙げます。

近頃すっかり暇で、ろくな掻っ払いもないせいもあったでしょう。

浅草山の宿の金蔵というのは、まだ三十三四の若い男ですが、三年前新鳥越から移って来て金貸を始め、ちょっとの間に、メキメキと身上を肥らせて行きました。かつて新鳥越に栄華を誇った、菱屋の番頭をしていて溜め込んだと言われ、元手が非常に潤沢な上、金蔵は年に似ぬ締り屋で、女房を貰って、一人口ふやすのが惜しさに、下女一人、小僧一人を相手に、稼業大事と必死と働いていた様子です。

その丸屋の金蔵が、ちょうど一と月前の八月十七日の晩、下女も小僧も知らないうちに、どこへともなく出て行ってしまったのでした。