Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme
さすがに牢格子ははめませんが、出入り口は人見を付けた厳重な樫の一枚戸で、平常は大海老錠で鎖してあるらしく、戸の上の欄間の荒い格子から入る明りが、真新しい畳の上に落ちて、血潮の中に男が一人俯向きに倒れているのが、浅ましくも見通しになるのでした。
「なんだって若旦那をそんなところへ入れることになったんだ」
平次はそれが詳しく訊きたい様子でした。
「よくあることですが、許嫁のお桃さんというのがあるのに、お艶とかいう恐ろしい女に引っ掛りましてね」
佐助は言っていいか悪いか解らないらしく、恐ろしくおどおどした調子でこう言うのでした。
「そんな事で、座敷牢は少し乱暴じゃないかね」
「ヘエ、でも、店の大事な品を持出したり、小言を言う親旦那に喰ってかかったりしますので、懲らしめのために、こんなところに入って頂くことになりました。親類方御相談の上でなすったことで私風情ではどうにもなりません」
佐助は臆病らしく揉手をしながら、考え考え三郎兵衛のために弁ずるのです。
「そのお艶というのはどこにいるんだ」
「それがよく解りません」
「八、すぐ行ってみてくれ。幾太郎はその女のところに居るに違いあるまい」