Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme

Aozora Bunko

浜路はとって十九、明日はいよいよ、遠縁の三杉島太郎次男要之助を婿養子に迎えるはずで、大坪家は盆と正月が一緒に来たような騒ぎ、当人もなんとなくソワソワと落着かぬ心持で床へ入った様子でしたが、翌る朝――というと、ちょうど昨日の朝、いよいよ今日は婚礼という時になって、婆やのお篠が顔色を変えて主人の大坪石見に耳うちをしたのです。お嬢様の様子が変だから、ちょっとお出でを願いたい――と。

「それから大変な騒ぎだ。ケロリとして顔を洗って、身支度をしている娘は、年恰好も浜路と同じくらい、武家風でツンとしたところのある浜路に比べると、下町風で愛嬌があって、優しくて、ちょいと鉄火で、負けず劣らず綺麗だが、人間はまるで変っている」

「それからどうした」

話の奇っ怪さに、平次もツイ吐月峰を叩いて膝を進めました。

「何しろ、色は少し浅黒いが、眼が涼しくて、口元に可愛らしいところがあって、小股が切れ上がって、物言いがハキハキして――」

「そんな事を訊いてるんじゃねえ、それからどうしたんだよ」

「役者の拵えを話さなくちゃ、筋の通しようはないじゃありませんか、――そのちょいと伝法なのが、滅法界野暮ったい武家風の刺繍沢山なお振袖か何か鎧って、横っ坐りになって、絵草紙か何か読んでいるんだから、親分の前だが――」