Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.230 Zeichen · 280 Bildschirme
「ひどくこんがらかっているそうじゃないか」
平次は一歩血腥い部屋に入りました。
「下手人と名乗って出たのが三人さ」
万七は大きく舌鼓を打ちます。
「どれまず仏様を拝んでからにしよう」
形ばかりの台の上に載せた香炉に線香を立てて、平次は膝行り寄るように、死骸の上に掛けた布を取りました。
「フーム」
思わず唸ったのも無理はありません。取乱した死顔ながら、これはまた抜群の美しさです。少し大柄の色白で、眉の太さも眼鼻立ちの逞しさも、見ようによっては少し男顔ですが、それだけ歌舞伎芝居の名女形に見るような一種の魅力があって、成熟し切った女性の、情熱も意志も人一倍強そうな、不思議な美しさを持っているのでした。
喉笛にはまだ匕首を突立てたまま、顔の険しさに似ず、血はあまり出ておりませんが、たぶん一と突きで死んだためでしょう。平次はそっと布をかけて、ひとわたり部屋の中を見廻しました。
蝋塗りに螺鈿を散らした、見事な鞘がそこに落散って、外に男持の煙草入が一つ、金唐革の叺に、そのころ圧倒的に流行った一閑張の筒。煙管は銀で、煙草は国分らしい上等の刻み、並大抵の人間の持つ物ではありません。