Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.230 Zeichen · 280 Bildschirme
八五郎はポンと横手を打ったりするのです。
「馬鹿野郎、人様が見て笑ってるじゃないか。往来へ向いて手なんか叩いて」
「実はね親分、山谷の寮に不思議な殺しがあったんで」
「あの辺のことなら、三輪の兄哥に任せておくがいい」
「任せちゃおけねえことがあるんですよ。殺されたのは吉原の佐野喜の主人弥八ですがね」
「あ、因業佐野喜の親爺か、この春の火事で、女を三人も焼き殺した楼だ。下手人が多すぎて困るんだろう」
「多すぎるなら文句はねエが、三輪の親分は、たった一人選りに選って田圃の勝太郎を挙げて行きましたよ」
「えッ」
田圃の勝太郎は、まだ二十七八の若い男で、もとは八五郎の下っ引をしていたのを、手に職があるのに、岡っ引志願でもあるまいと、今から二年前、平次が仲間に奉加帳を廻して足を洗わせ、田圃の髪結床の株を買って、妹のお粂と二人でささやかに世帯を持っていたのでした。
「妹のお粂が飛んで来て、けさ三輪の親分が踏込んで、兄さんを縛って行ったが、兄さんがゆうべ一と足も外へ出なかったことは、一つ屋根の下に寝ていたこの私がよく知っている。夫婦約束までした嬉し野が焼け死んでから、兄さんはひどく佐野喜の主人夫婦を怨んではいたが、そんなことで人なんか殺す兄さんでないことは、八五郎さんもよく知っていなさるでしょう。