Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.230 Zeichen · 280 Bildschirme
もっとも外からコジ開けるにしても、切立った二階窓で下からは足掛りも手掛りもなく、隣の植木屋幸右衛門の二階窓とは同じ高さで向き合っておりますが、三間以上離れておりますから、羽がなくては飛付く術もないわけです。
その隣との間の雪の上に、たった一箇所小さい穴のあるのは、上から物を放ったか、鳥が餌を探しにおりたのでしょう。手摺の雪は雨戸を繰るとき大方払い落された様子です。
「脇差は誰のだい」
「主人の品でございます。用心棒の代りに、この二階の床の間においてあったはずで」
そう説明されるとなんの手掛りにもなりません。
「ゆうべ主人の様子に変ったことはなかったのか」
「ヘエ――、別段変ったこともございませんでした」
「主人はちょいちょい此寮へ来るのか」
用心堅固に口を緘む番頭の万次郎から、いろいろのことを引出すのは、相当の骨折りです。
「滅多に参りません」
「それはどういうわけだ、もう少し詳しく話してくれ」
「お神さんがこの夏この寮で亡くなってから、あまり良い心持がなさいませんようで、一度もいらっしゃいませんでしたが、近頃ひどく疲れたから、せめて二三日休みたいとおっしゃって、きのう久し振りでお出でになりました。