Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.230 Zeichen · 280 Bildschirme
半年前に三百両で身請話のあった娘です」
「なるほどな」
「それから、お隣に住むようになって、寮へいらっしゃるたびごとに、何かにつけてお世話になりました。うまい物があれば届けて下すったり、良い医者があるとわざわざ差向けて下すったり、でも寿命のないものはどうすることも出来ません。長いあいだ患った揚句、親父の私をたった一人この世に残して去年の暮に亡くなってしまいました」
娘のことというと夢中になるらしい幸右衛門は、相手の身分の忙しいのも構わず、すっかり自分の述懐に溺れきるのでした。
平次はそんなことで打ち切って、
「この家の二階から、寮の二階を見せて貰いたいが――」
「ヘエ、どうぞ」
自分で先に立って二階に上がると、幸右衛門は窓を開けて何のこだわりもなく平次に見せました。
窓と窓との間は三間あまり、飛付くことなど思いも寄らず、締めきって大雪が降っていたから、向うの物音が聞えなかったというのも無理のないことです。
「八、向うの窓へ物干竿か、丸太を渡して歩けるかい」
平次は冗談らしく窓の下に立てかけた、植木の突っかい棒にする商売用の丸太を指しました。
「御免蒙りましょう、三足と歩かないうちにグラリと行きますよ。