Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.230 Zeichen · 280 Bildschirme
「私はよく寝る方で、夜半には滅多に眼を覚しません。でも昨夜はまだ宵のうちに、隣の部屋で、何か唸るような声がしたようにも思います」
そう言うのは、幾代には精一杯でした。
「ところで、主人の徳次郎を、お前さんはあんまりよくは思っていなかったろうな」
平次の問いはかなり突っ込んだものでしたが、幾代はそれを肯定も否定もせず、黙って豊かな顎を襟に埋めました。
「八、小僧の鶴吉を呼んで来てくれ。誰もいないところで訊きたいことがある」
「ヘエー」
八五郎が帰って来るまで、平次はもういちど念入りに庭のあたりから戸締りの様子を見ました。外から主人の部屋の戸をこじ開けた様子は絶対にありません。
「なんです、親分」
鶴吉はこまちゃくれた顔を挙げて、平次の側に立っております。
「お前が今朝主人の死骸を見付けた時、刃物は見なかったか?」
「びっくりして逃げ出したんで、何にも見ませんが、――何しろひどい血でしょう」
「いや、そのびっくりして逃げ出す前に、何か見たはずだ。キラリと眼に映ったものがあったはずだと思う」
小僧はそう言われると、しばらく首を傾けておりましたが、
「そういえば、右手のあたりに何か光るものがあったように思いますよ」