Japanische Klassiker mit Furigana
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おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme
いくら年寄りでも、こんな場合には、少々神経過敏にならないではいられぬ。
それが証拠には、隣りの寝室で、カタリと何かの物音がしたのさえ、聞逃さず、若しやドア一重向う側に、あの黄金仮面が潜んでいるのではないかと、女子供の様な、臆病千万な妄想をさえ起すのだ。
イヤ、妄想ではないぞ。賊は人の出入りのはげしい玄関にでもいたのだ。敵と狙う名探偵の室内に、潜伏していないと、どうして断言が出来よう。そう云えば、何だか、寝室の中に人の気配がする。確かにそうだ。あすこにあいつがいるのだ。と思うと、何だかいきなり逃出したい様な気持になる。
自然尾形老人の目は、寝室との境のドアに釘づけになっていたのだが、ふと気がつくと、そのドアがジリジリと、少しずつ開いているではないか。妄想がそのまま形になって現われて来たのだ。老人ながら、彼はギャッと叫び相になったのを、やっとのことでこらえた。
ドアが一寸二寸、容赦なく開いて来る。と見ると、その隙間からギラギラと目を射る金色の光。アア、果して果して、黄金仮面だ。あいつが隠れていたのだ。
思わず椅子から腰を浮かして、廊下の方へ逃げ出そうとする老人の目の前に、ドアがパッと開いて、全身まる出しになった怪物の姿。