Japanische Klassiker mit Furigana
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おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme
事実、夕闇が深くなって、部屋の中には、いつの間にか夜が忍び込んでいた。
「マア、ついうっかりして居りました。御免遊ばせ」
お豊は立って行って、一方の壁のスイッチを押した。パッと明るくなる部屋の中。
が、その一刹那、お豊が壁の方を向いている隙に、不二子さんが妙なことをした。
彼女はふところから、小さな紙包を取出すと、それを開いて、紅茶茶碗の一つに、中の白い粉を入れ、手早く匙でかき廻してしまった。それを、お豊は少しも気づかなかったのだ。
彼女が椅子に戻った時には、令嬢は已に紅茶茶碗を唇へ持って行っていた。
「サア、お前もお飲み」
やっぱり幼い時からお育て申したお嬢さまだ。こんなに口喧嘩をしていても、乳母をいたわって下さるかと、何も知らぬお豊は、ついホロリとして、云われるままに例の白い粉の入っている紅茶茶碗を取上げ、本当に喉も乾いていたので、すっかり飲みほしてしまった。
それから又、三十分ばかり、乳母の意見が繰返されたが、今度は不二子さんは、抗弁もしないで、おとなしく聞いている。そして、乳母のお喋りが一寸とだえたのをしおに、
「わたし、眠むくなったわ」
と云い出した。