Japanische Klassiker mit Furigana
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おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme
だが怪物は恐ろしく黙り返っている。
令嬢不二子さんは、無論賊を歓迎して、彼と共に逃出す積りであろうが、部屋の中には外にもう一人の人物が、見張り役のお豊がいる筈ではないか。そのお豊が声も立てぬのは変だ。若しや彼女は已に怪物の為に恐ろしい目に合ったのではあるまいか。と考えると、豪傑の青山も気持がよくはないのだ。
やがて、ドアがジリジリと開き始めた。
細い隙間から、ピカピカと長い金糸の様に光るのは、確かに黄金仮面の衣裳だ。
隙間が段々に拡がって行くに従い、金糸は見る見る太くなって、黄金の柱が立った。
上部に見えるのは、有名な黄金の仮面であろう。細い目と、例の三日月型の不気味な唇の端が、ゾッとする笑いを笑っている。
青山は、いきなり逃出したいのを、やっとこらえて、
「こん畜生」
と叫びながら、めくら滅法に、怪物めがけて突進んで行った。
だが、こんな青二才の襲撃に驚く黄金仮面ではなかった。彼は無言のまま、ゆっくりと、ドアの隙間からピストルの筒口を差出した。
「アッ」
とひるむ青山。
その瞬間をのがさず、怪物はパッとドアを開け放つと、猛然として廊下へ躍り出し、まるで稲妻の様な素早さで、青山の傍をすり抜け、玄関の方へ走り出した。