Japanische Klassiker mit Furigana
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おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme
しかも、益々不思議なことには、彼が気を取り直して、窓へかけ寄った時には、庭には勿論、低い生垣の外の、何の障害物もない、広い原っぱにも、見渡す限り人の影もなかった。
建物の蔭に隠れたのかと、窓を乗り越し、グルッと一巡歩いて見たけれど、どこにも人の姿はなく、又隠れ場所とても見当らぬ。
夜とはいえ、降りそそぐ真昼の様な月光だ。どんな隅々でも、どんな遠方でも、人一人見逃す筈はない。生垣も検べて見た。その生垣のほかに、一町四方、樹木らしい樹木はない。あの一瞬間に、広い原っぱを突切って、向うの闇に隠れるなんて、人間業では出来ないことだ。
黄金仮面の怪物は、魔法使の本領を発揮して、地面を突破り、彼の住家の地獄へと、姿を消してしまったのであろうか。
明智は、敵の余りの離れ業に、何とも云えぬ不安を感じないではいられなかった。この様な魔法使のことだから、今の間に、どうかして地下室の不二子さんを盗み出してしまったのではあるまいか。そして、二人は手に手を取って、地獄へと姿を消したのではないかしら。夢の様に青白い月光が、ふと奇怪千万な幻想を起させた。
彼は不安に耐えかねて、賊の捜索を断念すると、急いで地下室へと降りて行った。