Japanische Klassiker mit Furigana
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おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme
「そいつは一目見れば分ります」警官は答えようとして、一寸躊躇した。「黄金仮面」などと云う言葉を使うのが、職掌柄変に思われたからだ。
併し外に適当な呼び方もない。
「金製の面をかぶった奴です。噂の高い黄金仮面です」
ドッと笑い声が起った。突然、今演じつつある喜劇の主人公の名前が出たからだ。ある者は、この巡査も実は役者の扮装したもので、こんなおどかしを云って、あとで大笑いをさせる魂胆だろうと思った。
だが、舞台の警官は一向種を割る様子がない。あくまで厳粛な青ざめた顔で、同じ事を繰り返し怒鳴っている。
その様子を見ると、見物は笑えなくなった。場内はシーンと静まり返った。人々は自分の隣席の見物達を、疑い深い目でジロジロと眺め廻した。自分の腰かけている椅子の下を怖わ怖わ覗いて見るものもあった。
併し、金色の男はどこにもいなかった。「そんな賊が群集の中へ飛込んで来るものか、馬鹿馬鹿しい、何を血迷っているんだ。もっと外を探して見るがいいや」
感興を妨げられて憤慨した見物達が、ブツブツ小言を云い始めた。
警官も結局あきらめて引込む外はなかった。
その騒ぎが一段らくつくと、やがて遅れた第二幕目の緞帳が捲かれた。