Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうごんかめん

黄金仮面

江戸川 乱歩

Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme

Aozora Bunko

規定に従って、車内の豆電燈はついていたし、窓にはブラインドもおろさず、客席は見通しになっていたが、その代りに、まるで引越し荷物の様な、大風呂敷包みが、三つも四つもつめ込まれ、客の姿はその蔭に隠れて、殆ど見えないのだ。

いや見えないばかりではない。その客は、風呂敷包みの蔭に坐り込み、一挺の銃を肩に当て、引金に指をかけ、筒口を開いた窓の隅に置いて、今にも発砲しようという身構えでいるのだ。アフリカの猛獣狩りではあるまいし、自動車の中から、いくら人通りが少いといっても、東京の真中の電車通りで、一体全体何を撃つ積りなのか。

イヤ、もっと恐ろしいことがある。風呂敷の間から、キラリと光って見えたのは、確かに、金製のお面だ。アア、この異様な客こそ、怪賊黄金仮面であったのだ。

車はフル・スピードのまま、開化アパートの前にさしかかった。車上の射手は、すわとばかり狙いを定めた。銃口の向う所は、アア……アパートの二階の明智の部屋だ。そこの窓に映った名探偵の黒い影だ。この日頃の習慣といい、モジャモジャ頭を初め全身の恰好といい、人違いをする気遣いはない。

アッと思う間に、深夜の大気を揺がして、一発の銃声。