Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうごんかめん

黄金仮面

江戸川 乱歩

Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme

Aozora Bunko

同時に、仮面の黒く割れた口が少しずつ形を変えて、遂に大きな三日月型の、笑いの表情になった。見物達が思わずギョッとして、耳をすますと、シューシューという音は、怪物の笑い声であることが分った。アア、何といういやらしい笑い声だったろう。いつまでもいつまでも笑っている。そして、見ると、笑いながら彼は血を吐いているのだ。細い細い糸の様な一筋の血が、ツーッと顎を伝って、その末は、顎の先から、ポタリ、ポタリと雫になって落ちているのだ。

喜劇と知りながらも、余りの怖さに、見物は息を呑んで、静まり返って、怪物の顔から目をそらす力もない。

云うまでもなく、脚色者は、例の踏切りで怪物に出逢ったという商人の話を、そのまま劇中に取入れたのだ。又、全身金色の衣裳は、老婆の実見談から思いついたものであろう。

見物中の敏感な少数の人は、已にある恐ろしい疑惑に囚われていた。これが偶然であろうか、本物の黄金仮面が「黄金仮面」劇の小屋へ逃げ込んだということが。そこに悪魔の傍若無人な悪企みが隠されていたのではなかろうか。

それらの人々は、一秒一秒と時のたつのが恐ろしかった。「今にも、アア、今にも」