Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうごんかめん

黄金仮面

江戸川 乱歩

Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme

Aozora Bunko

彼は仮装をしていなかったので、燕尾服の二本の尻尾が、走るにつれて、黒いフラフの様になびいていた。

少しおくれて、もう一人の男が走っている。その男はひどく風変りな仮装をしているので、何者とも分らぬ。日本人かどうかさえ曖昧だ。身体の線の通りに、ピッタリ食着いた黒のシャツ、黒の股引、黒の手袋、黒の靴下、頭には黒布を被って、その黒布の両端が、ピンと二本の長い角となってはね上り、顔には無論マスクをかけている。つまり、西洋芝居に出て来る悪魔の扮装なのだ。

そのルージェール伯と、西洋悪魔と、接待係の変装をした波越警部とが、奥の黒天鵞絨の部屋へと、雁行して走った。

走りながら、警部は用意の呼笛を取出し、部下の刑事達への合図に、ピリピリと吹き鳴らす。

「何事です。君達はどうしたのです」

舞踏者の群集の中から、いぶかりの声が湧き起った。彼等はこの三人が三人とも、気でも違ったのではないかと疑った。それ程伯爵達の行動は、突飛にも滑稽にも見えたのだ。

「みなさん。注意して下さい」

伯爵は走りながら、群集に向って呼びかけた。

「あの金色のものは、本当の黄金仮面です。私は今夜彼がこの席へ忍び込んで来るという、予告状を受取っていたのです」