Japanische Klassiker mit Furigana
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おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme
躍込んで行ったかと思うと、バン……という発砲の音、野獣の様なうめき声、そして、ドシンと人の倒れる響。
どちらが発砲したのか? どちらが倒れたのか?
今は一瞬も躊躇すべき時ではない。波越警部と、西洋悪魔に扮した人物は、殆ど同時に部屋の中へ飛び込み、将に第二弾を発砲せんと身構えていた伯爵の、ピストル持つ手を取り押えた。
「いけません。大切の犯人です。殺してはいけません」
警部は相手に通じぬ日本語で、気違いの様に叫んだ。今この怪物を絶命させては、親友明智の生死も、大鳥令嬢の行衛も、分らなくなってしまうのだ。
怪物は、一匹の金色のけだものの様に、黒天鵞絨の床の上に傷つき倒れていた。弾丸は胸をうち抜いたと見えて、黄金マントの胸からと、三日月型の金色の唇からと、糸の様な血潮が、タラタラと流れていた。致命傷だ。しかしまだ全く絶命してはいなかった。
「マスクを、マスクを」
伯爵が叫ぶ。
警部は、怪物の上に身をかがめて、その無表情な黄金仮面に手をかけた。手をかけて思わず見震いした。
アア、この仮面の下には、一体全体何が隠されていたのであろう。今こそそれが分るのだ。世間は、被害者達は、そして警視庁は、どんなにか、この一瞬間を待ち望んだことであろう。