Japanische Klassiker mit Furigana
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おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme
「総監閣下、この瀕死の重傷者に、二三の質問をお許し下さいませんでしょうか」
彼は益々気違いめいたことを云い出すのだ。
総監も面喰ったが、いかめしい顔に、一入威厳を加えて、重々しく反問した。
「許さぬものでもないが、君の姓名は? 一体何の理由で、そういう不躾な要求をするのか」
悪魔に扮装した給仕人は、総監の威厳を物ともせず、顔と顔が触れんばかりに近づいて、
「閣下、僕です。まさか、お見忘れではありますまい」
と、思いもよらぬことを云い出した。
総監はその声がさい前の声とまるで違っていたので、ふとある人物を思い出した。あり得ない事だ。彼は殺されたのではないか。併し、併し、この声音、そして、この顔。総監は半信半疑で、じっと相手を見つめた。すると、不思議なことには、下品な給仕人の顔の下から、徐々に、ある知人の相貌が、浮び上って来た。
「オオ、君は!」
総監はうめき声を発して、思わず一歩あとに下った。
給仕人はニコニコ笑いながら、眼鏡をはずし、口髭をめくり取った。そして、その下から現われたのは、外ならぬ、我等の素人探偵明智小五郎の顔であった。
それを見ると、一座に異様などよめきが起った。