Japanische Klassiker mit Furigana
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おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme
閉じていた目を、毛布の中で開いて見ると、荒い網目を通して、早朝の薄白い光が感じられた。
アア、とうとう夜が明けたのだ。もう大丈夫だ。賊共はとっくにどこかへ立去ってしまったに違いない。
それでもまだ、とつおいつ躊躇したあとで、絹枝さんは毛布の中から、じりじりと、動くか動かぬか分らぬ速度で、右手を電鈴の方へ伸ばして行った。毛布をかぶったままでも、それのある場所は空んじているのだ。
間もなく、指先が、冷い押釦に触ったので、彼女は力をこめてそれを押えると、そのまま指を離さないで、じっとしていた。
聞えぬけれど、母屋の台所で、電鈴が危急を告げる様に、いつまでも鳴りつづけているに相違ない。
「アア、助かった。今に女中か爺やか、誰かが駈けつけて呉れるに違いない」
と思うと、絹枝さんは蘇生した様な気がした。毛布から顔を出して、あたりの様子を眺める元気が出た。
夜明けの幽かな光が、ブラインドをおろした窓を通して、部屋の中へ忍び入り、電燈の光と混り合っていた。凡ての物体が、霧を隔てて眺める様な感じである。
先ずアトリエとの境のドアへ目をやると、ドアは何事もなかった様にとざしたままだ。