Japanische Klassiker mit Furigana
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おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme
ビルディングというビルディングの屋根には、人間の鈴なりだ。
「フランス人は恐ろしい国民だね。シャプランを生み、ルパンを生み」
運転手姿の明智が感嘆する様に呟いた。だが流石の彼も、この世界一周機と、黄金仮面の犯罪事件との間に、あんな不思議な因縁が結ばれていようとは、夢にも知る由はなかったのである。
間もあらせず、湧き起る屋上の歓声が空の英雄の飛来を知らせた。一抹の雲なき青空、遙か西の方に三羽の鳶が悠々と姿を現わした。二機は某々新聞社の誘導機だ。
機体は見る見るその形を大きくして、仰ぎ見る群衆の頭上に迫って来た。轟々となりはためくプロペラの響。胸躍る万歳の声。
「オイ、見給え、あいつが変なことを始めたぜ」
波越氏が明智の腕を突いた。この忠実なる警察官に取っては、空の英雄よりも、地上の白き巨人が大切であった。
見ると、白き巨人は如何にも変てこな事をやっていた。彼は屋上の突端へ出て、どこから出したのか、両手に真赤な小旗を持ち、まるで旗信号でもする様に、しきりとそれを打振っている。その様は、丁度百貨店の真上にさしかかった飛行機に向って、歓迎の合図をしている様に見えて、実は必ずしもそうではなかった。